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2004年12月26日 北スマトラ沖で発生した地震について(暫定ver. 1)


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2004年12月26日に北スマトラ沖でM9の巨大地震が発生しました.この規模の地震は,広帯域地震計観測網が整備されて以来初めての地震です.ここでは、 IRIS-DMCが収集している波形をABICを考慮した波形インバージョン法(Fukahata et al., 2003, 2004; Yagi et al., 2004) に適用して,地震の時空間のすべり量分布の変化を求める事を試みました.
ここで地震波形には,今回用いた手法では解析が難しい超長周期の波が含まれています.この超長周期の波が今回の大きな津波に関係している事が考えられますが,ここでは,超長周期の波をフィルターで落とした場合,どのような震源像が得られるのか,示します.採用したフィルターは,4秒〜200秒です.この周波数帯域で見ると,破壊伝搬速度は約 2.5 km/sec,得られるすべり量は約19mにも達します.このすべり量には,超長周期の波を励起した滑りは含まれていません.また,震源時間関数も,超長周期成分は含まれていません.さらには,PP波をグリーン関数として計算していない事が原因になる誤差も含まれています.遠地波形では,P波が最も高周波の波を含んでいる事を利用して,おおよその破壊継続時間を試算すると,約400秒以上にも達します (図参照:波の継続時間は,おおよそ破壊継続時間+P-sP時間).
今回の巨大地震の震源近傍で,2002年11月2日にM7.3の大地震が発生しており,この大地震の震源領域では,今回の巨大地震では地震モーメントを開放していないように見えます.
(文責: 建築研究所・国際地震工学センター 研究員 八木勇治)


すべり量分布と余震分布


(震央はUSGSが決定した値を使用しました.)

断層面上の破壊分布と震源時間関数


図: (左上) 震源メカニズム解; (右上) モーメント開放履歴; (下) 断層面上のすべり量分布.

波形の比較


図: 観測された波形(黒線)とモデルによって再現された波形(赤線)の比較です.観測点コードの下に,各観測点最大振幅の値(単位ミクロン)を表示しています.波形のは、P波の10秒前から表示しています.4秒〜200秒のフィルターをかけています.

図 解析に使用した観測点分布.

参考文献

Fukahata, Y.; Y. Yagi; M. Matsu'ura, Waveform inversion for seismic source processes using ABIC with two sorts of prior constraints: Comparison between proper and improper formulations, GRL, 30, 10.1029/2002GL016293, 2003.

Fukahata, Y.; A. Nishitani; M. Matsu'ura, Geodetic data inversion using ABIC to estimate slip history during one earthquake cycle with viscoelastic slip-response functions, Geophys. J. Int., 156, 140-153, 2004.

Yagi, Y. ; T. Mikumo; J. Pacheco, Source rupture process of the Tecoman, Colima, Mexico earthquake of January 22, 2003, determined by joint inversion of teleseismic body wave and near-field data (PDF), in print, Bull. Seism. Soc. Am., 2004.


謝辞: 筑波大学の西村直樹さんには,解析を一部手伝って頂きました.

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Last Updated: 2005 Jan. 11