2003年5月26日宮城県沖で発生した地震(Mjma 7.0)の震源過程
Go to English Page
遠地実体波を使用した波形インバージョン
2003年5月26日18時24分(日本時間)に宮城県沖で気象庁マグニチュード
(Mjma) 7.0の地震が発生しました。 この地震の震源メカニズム解はdown dip compression型であり、破壊領域の深さはプレート境界より有意に深く求まります。
このことは、同地震が、1978年宮城県沖地震(プレート間地震)とは異なり、太平洋プレート内部で発生した典型的なプレート内地震である事を示唆しています。
IRIS-DMCが収集している波形記録から、観測点分布を考慮して、15点の遠地実体波(P波)をABICを考慮した波形インバージョン法(Fukahata
et al., 2003, Yagi et al., 2003)を使用して解析しました。
結果
断層モデル1
地震モーメント Mo = 3.8 x 10**19 Nm (Mw 7.0);
破壊継続時間 T = 16 s;
(走向, 傾斜, すべり角) = (6, 21, 86)
震源: (緯度 = 38.817N , 経度 = 141.654E , 深さ= 70 km).
(震央はHi-net(防災科学技術研究所)の自動処理で決定された値を使用しました。)
残差: (obs-cal)**2/obs**2 = 0.24177
最大すべり量 = 2.1(m)
主破壊は、震源から北側に約20km伝搬した。
断層モデル2
地震モーメント Mo = 4.0 x 10**19 Nm (Mw 7.0);
破壊継続時間 T = 16 s;
(走向, 傾斜, すべり角) = (193, 69, 87)
震源: (緯度 = 38.817N , 経度 = 141.654E , 深さ= 70 km).
(震央はHi-net(防災科学技術研究所)の自動処理で決定された値を使用しました。)
残差:(obs-cal)**2/obs**2 = 0.23335
最大すべり量 = 1.7 (m)
主破壊は、震源から北側に約20km伝搬した。
二つの断層モデルにおける残差 [(obs-cal)**2/obs**2] 比較からは、どちらの断層面であるか判断するのは困難です。
今後、余震分布もしくは近地強震動記録を使用した同時インバージョンにより断層面を決定する必要があります。
追記1(2003/05/29, 11:19): Hi-net(防災科学技術研究所) が決定した余震分布は、断層モデル2(走向,傾斜, すべり角) = (193, 69, 87)と調和的です。
また余震分布とすべり領域の範囲もほぼ一致します。 今回の地震は、沈み込む太平洋プレートを縦に切った地震と言えます。
今後、本地震の応力変化(たとえばΔCFF)から、同領域がどのような状態にあるか調べる必要があります。
追記2(2003/05/30, 17:20): Hi-net(防災科学技術研究所)が決定した余震分布と本解析で得られたすべり量分布を比較すると、規模の大きな余震は地震時すべり量が変化する領域
で発生しているように見える。(震源データは、防災科学技術研究所の汐見研究員から提供してもらいました。)
注意:本解析結果は、遠地実体波を使用しているために、時間に対する分解能は高い一方で、空間に対する分解能はよくありません。
今後、現地で観測されたデータを使用することにより、すべり分布が変化することがあります。(どの程度変化するかは、Fukahata
et al., 2003を参考に参考にしてください)
文責 建築研究所・国際地震工学センター 八木勇治 (yagi@kenken.go.jp)
余震分布との比較 (断層モデル2)

図: Hi-net(防災科学技術研究所)が決定した余震分布と本解析で求まったすべり量分布との比較。規模の大きな余震は、地震時すべり量が変化する領域
で発生しているように見える。
断層面上の破壊分布と震源時間関数 (断層モデル2)

図: (左上) 震源メカニズム解; (右上) モーメント開放履歴; (下) 断層面上のすべり量分布.
地図上のすべり量分布 (断層モデル2)

図: 震央は防災科学技術研究所が決定した値を使用しています。灰色の線は今回の解析で使用した断層モデルを示しています。
波形の比較 (断層モデル2)

図: 観測された波形(黒線)とモデルによって再現された波形(赤線)の比較です。観測点コードの下に、各観測点最大振幅の値(単位ミクロン)を表示しています。波形のは、P波の10秒前から表示しています。

図 解析に使用した観測点分布。
参考文献
Fukahata, Y., Y. Yagi, and M. Matsu'ura, Waveform inversion for seismic
source processes using ABIC with two sorts of prior constraints: Comparison
between proper and improper formulations, GRL, 30, 10.1029/2002GL016293,
2003.
Yagi, Yagi ; T. Mikumo; J. Pacheco, Source
rupture process of the Tecoman, Colima, Mexico earthquake of January 22, 2003,
determined by joint inversion of teleseismic body wave and near-field data
(PDF), submited to Bull. Seism.
Soc. Am., 2003.
リンク
何か質問・意見等がございましたら、八木(yagi@kenken.go.jp)までご連絡下さい。
Last Updated: 2003 May 30