◎ 採録した地震
日本: 被害の記録のある地震(ガラス・商品の破損など微小な被害は除く).中国及び朝鮮: 被害の記録のある地震.ただし1912年以降は震度7(日本の震度で5弱)以上または死傷者のでた地震.米国: 震度7以上.ソ連: 震度8(日本の震度で5強)以上.その他の地域: 死者あるいはかなりの被害の出た地震.ただし,震度9(日本の震度で6弱)以上と記録されているものは,被害の記載がなくとも採録した.なお,1980年以降については被害の報告があるものはすべて採用した.上記に該当する地震の資料が見いだされた場合はすべて採録したが,震度が記載されていない資料が多いので,各資料文献(カタログ等)ごとに基準を定めて,上記程度のものがもれないようにした.各文献ごとの扱い方は後に説明する.WDC-A for Solid Earth Geophysics/ WDC-A for Seismology刊行の significant earthquakes のカタログ(Ganse and Nelson, 1982;Dunbar et al., 1992)にはその採録基準に照らしてもなぜ収録したのかわからない地震が多数載っているが,それらも含めすべて採用した(ただし若干のイタリアの地震は削った-後記).なお,一般に採用する基準に合うかどうか迷う場合はみな採用し,さらに何らかの理由で採用したほうがよいと思われる場合は採用している.とくに最近数年に調べた文献では採用の範囲をやや広くしている.
津波の記録のある地震は,「弱い」,「被害なし」などと特に記載されている場合,あるいは検潮器記録だけの場合を除き,原則として採用した.津波のうちには地震が原因でないものが少数含まれているかもしれない.なお,火山噴火が主因の津波は原則として採録していない(1883年のKrakatoa噴火は WDC-Aカタログに載っているので本表にも入っている).
火山噴火による被害は採用しないのは当然であるが,噴火に伴う地震による被害は採用する.その場合,被害が噴火によるものか地震によるものか,参照した文献の記事からは区別できないこともあるが個別に判断した.たとえば1888年7月15日の磐梯山の大爆発(山体崩壊,死者461)はある程度強い地震を伴ったが,これは採録されていない.一方,1980年5月18日St. Helens(Washington州)に起こった同様な現象はM5.2の被害地震として採録されている(WDC-Aカタログにある地震はすべて採用という原則による.同カタログでは死者31あるいは32としているが,本表では地震による死傷者数は不明とした).